こんにちは、三段腹トメ子です。
去年、認知症の義母(ばあちゃん)を引き取りました。
実母は、同じマンション内で一人で暮らしています。
今では、4人で、食卓を囲んでいます。
さて、ある日のこと。
その日はなんと――
「今日の晩ごはんは、僕が作る!」と主人が名乗りを上げた日。
料理を始めたと思ったら、

「鍋がない!」「おたまどこや?」
と台所で騒ぎ出す主人。
たまにこうして振り回されては、「はぁ〜」とため息をつく私ですが――

「靴下だけでも履き替えよか?」
とやさしく、ばあちゃんに声をかけて、なんとか着替えへと誘導します。
そんなバタバタな日常の中、実母とばあちゃんが、なぜか張り切って“おでんの下ごしらえ”を始めるという
ちょっと不思議で、でもどこか笑えるひと幕が始まります。

主人が主役の「おでん奉行」
寒波到来!おでんの準備は万全
昨日のうちに、おでんの材料を買っておいて良かった。
2月は寒いので、仕事も少なめの主人は、毎日テレビの前でゴロゴロ〜。
昨日も、お昼になっても気温が上がらず、動く気配ゼロ。
しょうがないので、私ひとりで夕方4時ごろ、近所のスーパーへ買い物に行きました。
……こんな時、よくできた奥さんなら「寒いから、あなた休んでて。私が行くわ」
って言うんやろうけど――
うちは違います(笑)
ばーちゃんの介護、主人にも意識改革してもらう為にも「今は我慢」
目が覚めると、珍しく主人が台所に立って何やらゴソゴソ。

何、探してるの?

鍋がない!どこやったんや〜!

……目の前にあるやん
昨日、お母さん(=実母)も一緒に暮らすようになったので、食器や台所の棚の中を少し整理したんです。
でも、男の人って、場所がちょっと変わるだけで探せなくなること、ありますよね。
で、やっぱり言うんです。
「動かしたなら、動かしたって言えや〜!」(←ちょっとキレ気味)

またまた出ました、主人の「お前が悪いんやろ」発言。
こういう時、「女の脳と男の脳は違うんやな〜」って思います。
まだカチコチに凍ったままのスジ肉を出して、私は、そっとばあちゃんの着替えの手伝いをすることにしました。
嫌がるばーちゃんに、毎日着替えて貰う方法
【着替えをさせたい私VS拒否するばーちゃん】
ばあちゃんは、ばあちゃんで気を遣ってるつもりなんです。

毎日、洗濯物を出すのは、心苦しい
きっと、そう思ってるんやと思います。

「まだ着替えんでええ」「もったいない」
それでも、ばあちゃんは認知症。
いつ着替えたのか、自分ではもう覚えていられません。
たとえ1週間着替えていなくても、「昨日、洗ったから今日はいいよ」って、本気で思っているかもしれません。
だからこそ――
ばあちゃんに気持ちよく着替えてもらうためには、こちら側に、ちょっとした工夫が必要なんです。

そうやって、着替えを拒否するばあちゃんに――

靴下だけでも履き替えようか
と声をかけてみました。
すると、不思議と気持ちのハードルが下がったのか、その日は靴下だけでなく、下着もぜんぶ着替えてくれたんです。
きっとばあちゃんの本音は、「清潔な下着で気持ちよく過ごしたい」――そんな思いだったんやと思います。
おでんの下ごしらえ【卵の殻むき選手権】
話は戻って――
主人が突然、「おでん用のゆで卵、誰か殻むいといて!」と言い出したので、気づけば私・実母・ばあちゃんの3人で、**“卵の殻むき選手権”**がスタート。
ばあちゃんは、認知症だからといって、すべてができなくなるわけではありません。
こうやって「できること」を任せることで、少しずつ自信を取り戻してくれるし、表情もパッと明るくなるんです。
【ばーちゃん達の卵の殻むき選手権】ばーちゃんの圧勝

結果は――
なんと、8個中5個をばあちゃんが担当!
殻をスルスル〜っときれいにむいて、圧倒的勝利!
ちょっと悔しそうなお母さんの顔も、思わず笑ってしまうほどでした(笑)

ばあちゃん、やるやん!
と、家族みんなで拍手。
ばあちゃん本人も、ニコニコしながら得意げな顔。
こういう瞬間って、本当にうれしいんですよね
ちょうどその時、チャイムが鳴って、デイサービスのお迎えが到着。
ばあちゃんは、むいた卵を満足そうに眺めながら、

ほな、行ってくるわな〜
と、いつもの笑顔で玄関へ。
――こんな何気ない日常の中にも、ばあちゃんの“できること”は、まだまだたくさんあるんやなと感じた朝でした。
ちょうどチャイムが鳴って、デイサービスのお迎えが来ました。
最後に|「できること」を見つけた日は、ちょっといい日
ばあちゃんと暮らしていると、「できないこと」ばかりに目が向いてしまう日も、正直あります。
でも――
今日みたいに、「できること」が見つかって、みんなで笑えた日って、やっぱりちょっといい日やなと思うんです。
ゆで卵の殻むきひとつでも、ばあちゃんにとっては「私も役に立てた」と思える時間だったはず。
認知症になったからと言っても出来ることはあります。
その出来ることを探しながら、
これからも、無理せず、認知症のばあちゃんと暮らして行きます。
お読み頂き、ありがとうございました。
三段腹トメ子
