「介護の話なんて、まだうちには関係ない」そう思っている方、多いんじゃないでしょうか。
でも、年齢を重ねると“今まで当たり前にできていたこと”が、少しずつ難しくなって
「最近、ちょっと動きづらくなったな…」
「なんとなく、生活が不自由になってきたかも」
そんなふうに感じる瞬間、ありませんか?
実は、介護保険には「要介護」の前段階として、“要支援”という制度があるのをご存じですか?
今回は、「まだ介護までは…」と思っていた82歳の母が、
要支援2の認定を受けて、介護保険で福祉用具をレンタルしながら、暮らしの質を落とすことなく、自分らしい生活を続けられている様子をご紹介します。

まだ大丈夫…と思っていても、「備えあれば憂いなし」
父が亡くなって1週間ほど経った頃。
母がお茶をすすりながら、ぽつりとつぶやきました。
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ちょっと、目まいがして、ふらつくんやけど

ちょっと、疲れが出たのかな。この1週間、色々あったからね
その時は、軽く受け流したんですが、数日後、弟から電話がかかってきて、

姉ちゃん、オカンが自宅で転んで頭打ったから救急車呼んでくれって言ってる
急いで病院へ。
その時は、それほど大した事では無かったんですが、念のために調べてもらったら、小さい腫瘍が見つかりました。
それは小さな腫瘍だったので、しばらく、経過観察しましょう。って事に。
だけど、1年後に腫瘍は大きくなり、手術を受けることになりました。
手術をきっかけに、母の生活が少しずつ変わってきた
手術は無事に終わり、1ヶ月ほどの入院生活を経て、母は退院しました。
でも、やはり入院前とは体力が全然違います。
立ち上がるのも、おぼつかない。
「お母さん、大丈夫?」って声をかけたけど、

本音は「これ、家でどうやって過ごすんやろ」
これまでは、布団で寝起きしていた母ですが、夜のトイレが間に合わないことが増えてきたんです。
そんなときに助けになったのが、紙パンツや尿とりパッドといった“ちょっとしたサポート用品”でした。
▶ 実際に母が使ってみた紙パンツと、私のリアルな反応はこちらの記事にまとめています
👉『親の介護が始まる前に知っておきたい、介護用おむつのこと』
父の死をきっかけに、要支援2介護認定を受けていた母

お母さん、お布団での寝起きがしんどかったら…
「介護用のレンタルベッド借りれないか、ケアマネさんに聞いてみようよー」
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ベッドなんか、私にはまだ早いやろ…
気乗りのしない母を横目に、私は少しだけ笑ってこう返しました。

こうなった時のために要介護認定…じゃなくて、要“支援”の認定、受けてもらってたのよ〜
「ほら、保険って“何かあったときのため”に入るでしょ。それと一緒!」

……あんたって、ほんま用意がいいわねぇ
そんな母の言葉に、ちょっとだけホッとしました。
実は、父を亡くしたとき、「母もこの先、急に体調を崩すかもしれない」そう思って、要支援の介護認定を受けてもらっていたんです。
おかげで、福祉用具レンタルやケアマネさんのサポートなど、必要なタイミングで、必要な支援につなぐことができました。
【介護予防サービス】本格的な介護を必要とする前に
要支援2の母が利用できる介護サービスは

【要支援1・2で利用できる介護予防サービス】
▼訪問系サービス
・介護予防訪問介護(ホームヘルプ):自宅で家事や身体介護を受けられる
・訪問入浴介護:移動入浴車による入浴支援
・訪問看護:看護師が健康チェックやケアを提供
・訪問リハビリ:自宅で理学療法士がリハビリ
・居宅療養管理指導:医師や薬剤師の訪問指導
▼通所系サービス(施設に通う)
・通所介護(デイサービス):食事・入浴・レクリエーションなど
・通所リハビリ(デイケア):専門的なリハビリが受けられる
▼短期入所(ショートステイ)
・短期入所生活介護:生活支援を受けながら数日宿泊
・短期入所療養介護:医療ケア付きの短期宿泊
▼福祉用具・住宅改修
・福祉用具レンタル:歩行器・ベッドなどを借りられる
・福祉用具購入支援:ポータブルトイレなどの購入補助
・住宅改修支援:手すり設置や段差解消などの改修費支給
▼認知症・多機能型
・認知症対応型通所介護:少人数制の専門デイサービス
・小規模多機能型居宅介護:通い・訪問・宿泊を組み合わせて利用
介護用レンタルベッド、費用は月/1000円
母は、介護保険を使って、シルバーカーや介護ベッドなどの福祉用具をレンタルできるようになりました。

ケアマネさんに聞いてみたら、ベッド月/1,000円で借りられるって言ってたで〜
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えっ、そんな安いん?てっきり何万円もかかると思ってたわ
実際、私も最初は知らなかったんです。
福祉用具のレンタルって“要介護の人だけのもの”だと思っていました。
でも、ケアマネさんや福祉用具専門相談員の方が「要支援2でも、必要性が認められれば対象になりますよ」と教えてくれました。
母が借りている福祉用具
実際に母が借りているのは、以下の2つの福祉用具です。
① 介護用ベッド(電動・手すり付き)
手術後、布団からの起き上がりが難しくなった母にとって、高さ調整ができて、手すりがついているベッドはまさに“安心の道具”でした。

これ、立ち上がるときラクやわ〜。夜中のトイレもスッと行けるし
高さのあるベッドだと、腰をかけて立ち上がれるので、「よいしょ」と床から立ち上がる必要がなくなりました。
その結果、夜中のトイレも間に合うようになり、母のプライドも守れたと思います。
② シルバーカー(座れるタイプ)
もうひとつ借りているのが、買い物や散歩のときに使っている”シルバーカー”=押しぐるまです。
座面がついているタイプなので、歩き疲れたときにその場で腰かけることができます。

もともと母は「こんなん、お年寄りが使うやつやろ」と言っていたのですが、いざ使ってみたら、「これがあるから外に出られる」とまで言ってくれるようになりました。
介護ベッドは介護保険を使って自己負担1割=月1,000円
シルバーカーは介護保険を使って自己負担1割=月300円
車椅子は実費=月500円
ここまで合わせても、月にかかる費用はたったの1,800円。
それで、転倒の不安や、夜中のトイレの心配、外出のストレスがぐんと減ったんです。
介護保険は、要介護にならない為の制度でもあるんです
最初は「介護保険って、ほんまに使えるん?」と半信半疑だった私ですが、実際に使ってみて、「ああ、これは“困ってから使うもの”じゃないんやな」と思いました。
ケアマネさんが言っていた、あの一言が今でも忘れられません。

介護保険は、“要介護になる前に支える”ための制度なんです
母が介護認定を受けて、要支援2に適した介護サービスを利用できる様になったことで、母も私も生活の質を落とす事なく快適に暮らせています。
これは、「備えあれば憂いなし」そのものやったなと思っています。
お読み頂き、ありがとうございました。
三段腹トメ子

