前回までのお話——『認知症の義母との同居は戸惑いの連続』
ディズニーに遊びにいくついでに立ち寄ったご主人様の実家では、すでに介護の限界を迎えていました。
「3週間だけ預かってほしい」と言われて関東から関西へ!
突然、お義母様の介護をお義姉様から引き継ぐことになったトメ子さん。
慣れない環境の中で始まった認知症介護の一日を、トメ子さんが語ってくれました。
あれから、地域包括センター(ライフル介護参照)に連絡したり、関東で利用してたケア施設との引き継ぎ。
住所変更や各種書類の提出など、やることは山積み。
それでも、家族で力を合わせて一つひとつ乗り越えていきました。

今回は、まだ不穏な行動を繰り返すお義母様を、病院に連れて行くための行動した日の出来事をお伝えします。
全ての介護が同じ経過をたどるわけではありませんが、「もし自分だったら……」と想像しながら読んでいただければ幸いです。
義母の『私、どっこも悪くない』には
[カン]と高い音が鳴り、続いて太鼓の[ドン、ドンドコドン……]
遠くで響く祭り囃子が、風に乗って窓をかすかに震わせた。

今日は、お祭りなんですね。
早速ですが、先週の続きをお聞かせいただけますか?
トメ子さんが、ゆっくりとコーヒーを一口のむ。

そうですね。今回は、お義母さんを脳神経外科に連れて行ったときのことを聞いてくれますか。
そう言って、少し遠くを見るように微笑んだ。
周辺にいる善意の人の声「騙してでも専門医に診て」
まず結論から言うと、「認知症になったからといって、すべてがわからなくなるわけではない」ということを、ぜひ知っておいてください。
私の間違えは、お義母さんの理解しずらい言動や行動を見て「今いる場所が、病院だとは気づかないのではないか」と思い込んでいたことでした。
でも実際は違いました。
一緒に暮らし始めてから夕方になると不穏になる義母に、夫婦そろって、どうしたらいいのか……
ほとほと、困っていました。
そんなとき、
知人「一度、病院で診てもらったほうがいいよ」
と、義母を連れて散歩してるときに言われました。
そこで、知ってる病院に電話をかけることに。
ツープルプル…..カチャ
看護婦「どうされましたか?」
トメ子「義母が、認知症だと思うんですが、言ってることがよくわからなくて…」
今の現状を伝えると、予約を取ることができました。
しかし、電話をかけてる最中も
義母「私は、病院なんかに行かへん。どっこも悪いところない!」
とても、予約時間に連れて行けそうな状態ではありませんでした。
その日の夕方、また「帰る」と言って、ソワソワする義母に主人が
「駅まで送るから、途中でわしの病院に寄ってくれるか?」
義母「私は、どっこも悪くない。病院には行かない!」
主人「何を言ってるんや?わしが診てもらうって言ってるやろ!」
あのときの私たちは、認知症の知識なんてほとんどありませんでした。
「病院に行けば、何かが変わるかもしれない」
そう思っていました。
だけど、結果は惨敗。
医師「この病院では、対応が難しいですね。
できれば、精神科や脳神経内科のある〇〇病院などで、専門的に診てもらった方がいいですよ。
……正直なところ、嫌がられても『うまく連れていくしかない』と思います。」

嫌がる義母は、診察室に入ることもなく、待合室の椅子に腰を下ろしていました。
先生の話を聞いている間も、『外へ出ていってしまわないか』ずっと気が気でなかったです。
診察を終えて会計に向かうと、受付の人が義母の名前を呼びました。
トメ子(心の声)『あちゃー。初めに義母の様子を伝えておいたのに…… 』
その瞬間、義母の表情がこわばります。
義母「なんで、私の名前が出るんや!」
不信感は、もう最大マックス。
その後、義母に保険証も、介護保険証も奪われてしまいました。
トメ子(心の声)「……とほほ。」

義母との経験で、認知症だからといって『嫌がるのを騙して連れて行く』のはやめた方がいいと思いました。
なるほど……。

つまり、病院に連れて行くという目的が正しくても、そのやり方で信頼関係が崩れてしまうということですね?
トメ子「そうだと思います。」

このことが、きっかけで介護がやりにくくなる可能性もあったので、慎重に動くべきだったと反省しています。

だけど、その後、お義母様は病院で検査を受けて、お薬も飲むようになった。と、おっしゃっていましたね。
勢いで、受診にたどりついた長い1日
最初に病院へ連れて行った、あの日から、義母がこちらで暮らせるように手続きに追われる日々が続きました。
ようやく、義母の担当となるケアマネジャーさんが決まり、支援の体制も少しずつ整ってきたけど
その間、ゆりえ姉さんとは連絡が取れず、今思えば義母も心細かったのだと思います。

義母の様子は、認知症の症状というよりも精神的な不安が強く、落ち着かない日が続いていました。
ようやく利用できるようになったデイサービスからも、「お薬を処方してもらわないと、お預かりできません」と、また新たな壁が立ちはだかります。
同じマンションに住んでいた実母が、この頃、脳腫瘍の手術を受け〇〇脳神経外科に入院することに
母の手術が終わるのを待つ部屋に『認知症について』の本が目に入って、この病院で相談に乗ってもらえないかと考えていました。
トメ子「どうする?」
主人「どうするって言っても……」
向こうの部屋から、義母の声が響きます。
義母「明日、帰るよ!どっこも行かないから!」
トメ子「わかりました……けど、帰る前にトメ子の母のお見舞いに行ってもらっても良いですか?」
義母「え、トメちゃんのお母さん大丈夫なんか?もちろん、連れてってくれるんやな」
トメ子(心の声)『よっしゃ』
この時は、とりあえず病院を知ってもらえたら、そんな気持ちでした。(まさか、その日のうちに診察まで進むなんて、思っていなかったんです。)
外に出ると、朝から降っていた雨が止んでいて
濡れたアスファルトが光を反射して、空気が少しひんやりしていました。
主人「おい、お袋が診察してもらえるとは、聞いてなかったで!」
トメ子「シー」
義母「なんの話や?」
トメ子「さっきお義母さん、病院で先生に『次回もう少し詳しい検査をしましょう』って言われたでしょう?」
義母は少し考え込んでから
「さっき、検査したよ。」
と小さくつぶやきました。
トメ子「うん、さっきは血液検査。次に行ったら、結果を聞けるんですよ。」
主人はまだ腑に落ちない顔をしていましたが、その先には、大きな虹がかかっていました。

急展開ですね(笑)
この時、お義母様をお医者様に見せれると思っていたんですか?

いつも、行き当たりばったりなんです。(笑)
でも、お義母さん自身が、一番自分のことを知りたいんじゃないかって、思っていました。

だけど、2週間後の検査の日、本当に義母が、行ってくれるのかどうかは、まだわかりませんでした。
ケンカ越しでも受けてくれたMRI
介護離職はお勧めしませんが、家族の中でも短い時間勤務だったので義母と暮らすことを決めたとき、長年勤めてたパートを辞める事に
検査の日は、私の最後の出社日でした。
正直、主人だけに任せていいのか迷っていました。
トメ子「おはようございます。今日は、病院に行く日ですよ」
主人「お袋、今日、病院で検査を受けるから支度して」
義母「いや、行かん。病院なんか行かんから、駅まで送ってくれ」
朝から『行かない』の一点張り。
玄関先で言い合いになりそうだったので、私は少し強めに言いました。
トメ子「じゃあ、病院に行かなくっていいのね?
私、今日は仕事に行くから、ひろみさんと二人で頑張ってね!」
そう言って、家を出ました。

トメ子さん、お仕事、辞められたんですね。

はい。だからこそ、どう行動するべきか迷いました。

それで?

家を出て、パン屋の前で思い直して引き返しました。
トメ子「お義母さん、本当に病院行かなくてもいいんですか?」
少し、きつめの口調になっていました。
主人「行かないって言うんだから、もうええやん!」
主人に目配せして、落ち着いた声で言いました。
トメ子「そんなこと言わないで。せっかく予約も取ってるんだから、ちゃんと診てもらいましょうよ。」
義母「……あんたらが、そこまで言うなら、行ってあげてもええよ。」
その言葉に、ほんの少し肩の力が抜けました。
車の中では、余計なことを言わないようにしていると
義母「そこは、遠いのかい?」
トメ子「すぐ、そこですよ(笑)」
病院に着くと、義母は意外にも素直に検査の手順に従ってくれました。
けれど、時間が経つにつれて落ち着かなくなり、「帰る」「もうええ」と言い出します。
MRI検査の順番を待つ間は、私はできるだけ義母の目を見ないように、スマホの画面でゲームを開いて気を紛らわせていました。
——そのとき。
トメ子「あれ……。」
顔を上げた瞬間、義母の姿が見えませんでした。
焦りながらも、『まさか外に出ていないよね』と自分に言い聞かせながら、主人と二人で探し回りました。
主人「なんで、目を離すんや!」
怒鳴り声が響いた直後、看護師さんと一緒に義母が、検査室の奥からゆっくりと戻ってきました。

お義母様、知らない間に検査室に入られてたんですね。

そうなんです。
この時、緊張していたのは義母じゃなくて私達の方だったかもしれません。

それでも、お義母様が無事に検査を受けられるように、トメ子さんがどれだけ気を配っていたか、よく伝わってきます。

ありがとうございます。
ここまでの振り返り(義母に受診してもらうまで)

今回は、ここまで——。
トメ子さんのお義母様の診断結果は『アルツハイマー型認知症』でした。
診察室では、抵抗することもなく、落ち着いた表情で医師の話を聞かれていたそうです。
その後は、何度かお薬を調整しながら、少しずつ穏やかな日常を取り戻していかれました。
今回のお話を通して感じたのは、認知症への正しい理解は、本人だけでなく家族にとっても大切な支えになるということ。
トメ子さんは、この経験をきっかけに「もっと認知症を理解したい」と思い、住んでいる自治体の認知症サポーター(養成)講座を受講されたそうです。
次回は、その講座で学んだこと、そして介護への向き合い方がどう変わっていったのかを伺います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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介護の始まりは、何も準備のできてないことが多いと思います。
まだ、公的な支援が受けれなくて家族だけでは整えきれない部分もありますよね。
そんな時『介護保険外サービスイチロウ』や『家事代行サービスCaSy』など、外部の力を借りることも検討されると良いんじゃないでしょうか?
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