『介護は突然やってくる』
本のタイトルのように、トメ子さんも思いがけない形でその日を迎えました。
1年前、『ディズニー』に行くついでに、お姉様からお義母様の介護を引き継ぐことに(汗)
その時のお話はこちら
その頃から、お義母さんの認知症は進んでて、さっき、排泄を失敗したことも忘れてしまう状態でした。
お義姉さんが『紙おむつ』をすすめても、逆に「そんなもの、私には必要ない!」と認知症の義母は怒り出す。
仕方ないのでお義姉さんは、体が痛いのを我慢しながら汚れたパンツを洗い続けていました。

その認知症の義母のおむつを拒否する行為は、我が家に来てからも続いていました。
普段は問題ないのですが、便秘が続くからと薬や浣腸を使うと

その影響で下痢になり、パンツを汚してしまって!
「だけど、認知症が、その行動を忘れさせてしまうので、いくら予防のために紙おむつをすすめても聞き入れてもらえませんでした。」
トメ子さんは、当時を振り返って、認知症介護の難しさを語ってくれました。
まずは、トメ子さんがお義母様の『排泄トラブル』が気になったきっかけから
認知症の親が『おむつを拒否するとき』介護者が感じる不安

認知症のお義母様の介護で、何が心配でしたか?

義母と暮らし始めた頃、従姉妹の介護の話を聞かされて、急に排泄トラブルのことが心配になりました
そう言って、まだ湯気のたつコーヒーカップを見つめながら話してくれました。
従姉妹のW介護の経験
デージ姉ちゃん:「トメ子、あんた最近お姑さんと暮らすことになったんだって?」
トメ子:「まー、成り行きでね。」
「ほら、若い頃は、親にいろいろ迷惑かけたから、義母のお世話が恩返しかな〜って(笑)」
デージ姉ちゃん:「あんた、本当に大丈夫?前に話した、お母さんの最後の介護は壮絶だったのよ。」
<デージ姉ちゃんの回想シーン>
夜中の2時。
鳩時計が、静かな部屋に時を告げた。
ぼーん、ぼーん
デージ姉ちゃん:「お母さん、何してるの?こんな時間に……」
デージ母:「別に、何も。まだ早いから寝てたらいいよ」
…….!
その時、母は汚れたパンツを持ったまま、あちらこちらの引き出しを開けまくってた!
ガーン
食器棚の引き出しは、母の手についた茶色い跡が
デージ姉ちゃん:「お母さん、そんなところに洗剤入ってないよ。私が洗うから、貸して。」
デージ母:「私が、自分でできるから。ほっといて!」
その時、背後から、車椅子に乗った90歳の父親のかすれた声がした。
デージ父:「トイレに行きたいけど、手伝ってくれるか」

それは、衝撃的な話ですね!!

その時は、家じゅう異臭が酷かったそうです

その話とトメ子さんは、どう結びつくのですか?

お義母さんと暮らし始めてから、しばくして、ある出来事が起きたんです。
そう言って、少し息を整えました。
義母:スーパーのゴミ箱に汚れパンツ
お義母さんが我が家に来たばかりの頃は、不安と混乱の毎日でした。
初めての義母との同居は、どう接していいのかも手探りで、毎日「帰りたい」と繰り返す言葉に、私も主人も、心がすり減っていくようでした。
*その頃のことは別記事『認知症の義母との同居は戸惑いの連続』で紹介しています。
あれから、数ヶ月が過ぎて
義母はデイサービスに通うようになり、薬の力も借りながら、少しずつ落ち着きを取り戻していきました。
あいかわらず、デイのない日は「帰りたい」ということもあるけど、こちらも段々なれてきて
「今日は、もう遅いから明日駅まで送っていくよ」とか

そういうと
義母:「ええんか、ほんまにずっと居ても」
そう言いながら、やり過ごせるようになりました。
だけど、介護に『何も起きない日』なんて、やっぱりないんですよね。
その朝も、どこか胸の奥がざわついていました。
主人:「最近、お袋も落ち着いてるし、久しぶりに〇〇モールで服でも買ってあげようか?」
トメ子:「そうね。暑くなってきたし何か買ってあげてもいいよね」
そう言ってると、義母が起きてきました。
義母:「おはよう。今日はデイサービスあるんか?」
トメ子「今日は、デイサービス休みだから3人で買い物いきましょう(笑)」
レジで並んでると
義母:「ちょっと、トイレに行ってくるよ」
トメ子は、少し慌てて
なぜ慌てたかというと、前にもトイレに一人で行って迷子になったことが(汗)
トメ子:「少し待って!私も一緒にいくから」
トイレから出てきた義母は、なぜかソワソワしてる。
トメ子:「どうかしたの?」

家に戻って、前を行くお義母さんのズボンの裾を見ると
トメ子:「お義母さん、ズボン汚れてるよ」
義母:「え、なんでやろう」
別の部屋に誘導して、着替えを手伝おうとズボンを脱がすと……
トメ子:「お義母さん、パンツどうしたの?」
義母:「あれ、どうしたんやろ?」
どうも、さっき行った〇〇モールで汚したパンツをゴミ箱に捨ててきたみたいですが、そのことを、すっかり忘れていました。
トメ子は言葉にならない不安を覚えたのでした。
紙おむつに慣れてもらうために
その後も、トメ子さんは、義母の自尊心を傷つかないように、少しずつ紙おむつに慣れてもらう工夫を続けました
ただ、どんなに丁寧に声をかけても、忘れるという認知症の症状が『おむつに慣れる』ことを難しくしていたといいます。
ですが『紙おむつになれてもらう工夫は』介護を楽にしてくれる為でもあるので
ここからは、トメ子さんも参考にしている大正健康ナビ(大正製薬)の内容をもとに、日常でできる排泄ケアのコツを紹介します。
自尊心を気遣いながら……だけど
トメ子:「お義母さん、『尿とりパット』をトイレに置いてるから、誰でも使っていいですよ」
自然に紙おむつや尿とりパットを生活の中に取り入れる工夫をしました。
その結果、1度だけですが
義母:「トメちゃん、これ、どうやって使うんや?」
と聞いてきてくれた事があります。
しかし、その後はトイレの中でホコリをかぶる結果に
やっぱり、長年の生活習慣というのは、そう簡単には変わらないものです。
だからこそ
大丈夫なうちに、排泄ケアグッズに慣れておくことは、介護が必要になったとき、お互いが少しでも快適に暮らせるための準備です。
義母を尊重した声掛けをしましたが……
トメ子:「お義母さん、お薬や浣腸をした後、お腹が緩くなった時だけ『紙おむつ』、履いてもらってもいいですか?」
その頃、『義母がパンツを汚す → 自分でゴミ箱に捨てる』という行為が増えてきていました。
義母:「そんなこと、気を使わんでいいよ。だけど、トメちゃんが言ってくれたら使うから。」
その言葉に、私はホッとしました。
ですが、実際には『紙おむつ』を見せた瞬間、表情が一変。
義母:「私、そんなゴワゴワしたもの履きたくない!」

義母は、ほんの少し前に自分のいった事とかも、もう覚えていません。
だから、こちらの『紙おむつ』も押し入れの中でホコリをかぶっていました。
後から、「もっと薄型の、下着に近いタイプを探してあげればよかったな……」と後悔しています。
その他の排泄ケアについて
①【手を出し過ぎない】
自分でできることには手を出し過ぎずに、まずは介護される側のペースに合わせ、「できること」と「できないこと」を見極めることが大切です。
②【排泄のタイミングをつかむ】
排泄のタイミングをメモしておくと、トイレ誘導や声かけのタイミングがつかみやすくなります。
- 排尿の場合:
「水分をとった時刻」と、「その何時間後くらいに排尿があるか」を記録。- 排便の場合:
「食事の時間と内容」「排便のタイミング」「何を食べて下痢になったか」などを記録。続けるうちに、だいたいの排泄リズム(サイクル)が見えてきます。
意思疎通が難しい認知症の方も、排泄前にはソワソワ・モゾモゾしているなど、何かしらのサインを出しています。
そのサインを見逃さないようにしながら、やさしく声をかけるだけでも、トラブルの予防につながります。

とはいえ、忘れるお義母さんにトイレに行くたび『どう?』と聞くわけにも(汗

そうですよね。
こういうところが、認知症介護のいちばん難しい部分なんですね。

はい、見守りすぎても、放っておいても……難しいところです。
在宅介護の終わり、原因は『おむつを嫌がる』行為
窓の外は、ゆっくりと日が暮れはじめていました。
オレンジ色の光がカフェのテーブルに差し込み、トメ子さんは、その光を見つめながら、静かに話を続けてくれました。
「私のことがイヤなの」「なんでこんな(汚れたおむつ)….泣

今は、お義母様はどうされてるんですか?

今年の6月から、義母の通っていたデイサービスの系列施設で暮らせるようになりました。

それは、良かったですね。

だけど、その時もオムツを嫌がることと、『忘れる』という症状のせいもあって、スムーズに送り出す訳には……
あの頃は、義母の症状もかなり進んでいて、お腹をこわしては、あちらこちらを汚す日が続いていました。
ですが、紙おむつの拒否が続いてたので『どうしても履いてもらえない』という状況です。
そんなある日。

洗面所に転がってた〇〇を見て、つい義母を問い詰める言い方をしてしまったんです。
その日から義母の不穏は強まり、私の気持ちもどんどん不安定になっていきました。
結局、その事で在宅での介護を続けることが難しくなって施設に
ですが、不思議なことが起きたのはその後です。
施設に入る際、義母の布パンツをすべて引き上げ、紙おむつでの生活に切り替えてもらったところ——
あれほど拒否していた義母が、驚くほど自然に受け入れたのです。
認知症の親、施設では『おむつ拒否』がなくなるワケ

なぜ、お義母様が施設では紙おむつをすんなり受け入れたのか?
3つの理由が考えられます。
介護現場からわかる『おむつ拒否』の対策
ご自宅と施設では、生活環境が全く異なります。この物理的な変化が、おむつ の受け入れを促す大きな要因となります。
施設での「当たり前」への同調意識
自宅では、おむつ やパッドの使用は「失敗の証」や「情けない状態」として認識され、ご本人の強い自尊心によって拒否されていた可能性があります。 しかし、施設に入居すると、他の入居者の方々が介護を受けている姿を目にします。
この状況が、「ここではおむつを使うのが普通なのだ」という新しい生活様式の一部として認識され、在宅時のような強い抵抗感が薄れることにつながったのかもしれません。
家庭での役割からの解放
自宅にいる間、認知症の方でも「家族を支える人」「きちんとした大人」といった役割意識を強く持っている場合があります。排泄を手伝ってもらう行為は、介護される側に「恥ずかしい」「申し訳ない」という気持ちや無力感を生みやすいものです。
施設では、この役割意識から解放され、心身ともに「ありのまま」を受け入れやすくなった可能性があります。
プロによるケアと心理的変化
排泄ケアは、介護される側の尊厳を守ることが非常に重要です。認知症ケアに慣れた専門職による対応は、ご本人の心理状態に大きな安心感をもたらします。
自尊心に配慮した専門的なアプローチ
専門職である介護職員は、認知症の方の排泄ケアの際に、羞恥心や自尊心に最大限に配慮した声かけやアプローチを行います。 介護する側の都合で急かすような言動を避け、「あなたを大切に思っています」という気持ちで優しい表情で行うことが大切とされています。
このような、ご本人の「情けない」「恥ずかしい」という感情に寄り添うプロの介入が、安心感につながったと考えられます。
不快感や失敗への不安の軽減
施設では、ご本人の体形や状態に合った おむつ を使用し、適切な交換頻度でケアが行われます。
在宅で おむつ を拒否していた理由の一つに、厚みやゴワつき、または排泄失敗による不快感があったかもしれません。施設で高性能な おむつ が使われ、適切な交換によって快適に過ごせるようになると、不快感による拒否がなくなることがあります。
また、排泄のタイミングに合わせた誘導や高性能な おむつ によって、排泄の失敗そのものが減ると、ご本人が抱える「また漏らしてしまうのではないか」という不安が軽減され、結果として おむつ への拒否感が薄れることも考えられます。
認知症による状況認識の変化
認知症の症状の進行度合いも、おむつ の受け入れに関わってきます。
施設に入居した時点での認知機能の変化により、おむつ を「恥ずかしいもの」「嫌なもの」として拒否していた過去の強い記憶や感情が薄れている可能性があります。
その結果、ご本人が、 おむつ を使用している理由自体を深く考えなくなった(あるいはその強いこだわりが薄れた)ことも、受け入れにつながる大きな要因となります。
義母との暮らしは、「生きる力」を信じるところから

今回はここまで——。
親が認知症になったとき、自分はどうすればいいのか。
きっと、その時にならないと本当の答えはわかりません。
けれど、トメ子さんはこう言いました。
トメ子:「認知症になったからといって、何もわからなくなるわけじゃないのよ。」
そして、少し間をおいて続けます。
トメ子:「それに、義母は自分で選んで姉の家を出て、私たちと暮らしたの。少なくとも、その瞬間は『自分の意思で施設に行った』と、私は思っています。」
その言葉には、介護の苦しさだけではなく、生きる力を信じるという優しさが込められていました。
今回の話を聞いて、私も思いました。

今度、実家に帰省した時、親と『これからの介護の事、終活の事』少しでも話してみようかな
ここまで読んで頂きありがとうございました。
あわせて、認知症家族を支えてくれるボランティアや行政の仕組みを「私の街、明石を参考に」紹介しています。
他の自治体でも『認知症施策』の取り組みは進んでいます。


