こんにちは。
50代を迎え、ふとした瞬間に「親の介護」が頭をよぎることはありませんか?
今回は、一人っ子で元介護士のいとこが実の両親を同時に介護した時の体験談をもとに

「一人っ子ならではの介護の悩み」を考えていきたいと思います。
一人っ子のA子さんは、認知症のお母さんと、身体介助が必要になったお父さんを同時に介護することになりました。
その時の話は、今でも忘れられないほど壮絶なものでした。
でも、この話は特別な出来事ではありません。
親が80代を迎える頃、誰にでも起こり得る現実です。
「うちはまだ大丈夫」
そう思っている今だからこそ、もしもの時に慌てないために介護について知るきっかけにしてもらえたら嬉しいです。
認知症の親の介護で直面した衝撃の出来事とは

ご両親が同時に介護状態って、どんなことに困りましたか?

介護士をしていたので、「人よりは介護に詳しい」と思っていました。
「ですが、実際の親となると……つらくって」
実家は2階建。
1階でお父さん、2階でお母さんが2人で暮らしていました。
(キッチンは2階にあります)
私は実家を出ていましたが、親の状態が悪くなってからは時々泊まりに行っていました。
ある深夜のこと、物音がしてキッチンにいくと、母が自分の汚した下着をシンクの中で洗っていました。
認知症のお母さんは、昔から綺麗好きでした。
本来の性格も習慣も、認知症になっても変わりません。


変わってしまったのは、
「さっきまで自分が何をしていたか」を忘れてしまうことでした。
自分の手が汚れているのはなぜか? なぜ下着を洗っていたのか? なぜキッチンに立っているのか?
それすらも、一瞬で忘れてしまいます。
ふと立ち止まった母の目に、 水切りカゴに伏せてあった食器が入りました。
身体は自然と、 「乾いた食器を片付けなきゃ」 と動いてしまいます。
その結果…… 食器も、食器棚も、 すべてが汚染されてしまいました。
部屋中に広がる強烈な臭い。
それが日常になり、 家の中から臭いが消えることはなくなりました。
支援を拒む母親と素直に支援を受け入れる父親

介護ヘルパーさんには、週5日来てもらっていました。
でも、デイサービスは、お母さんが頑なに拒否。
反対に、お父さんはデイサービスを楽しみにしていました。
車椅子のお父さんにとって、デイサービスはお風呂に入れてもらえる場所。
「母とも距離を取れる時間」になるので、父にとって気の休まる時間だったのかもしれません。
苦渋の決断と、突きつけられた現実
お母さんの症状が進み、ついに入院を決めました。
「心のホスピタル(認知症専門病院)」です。
母には、

ガンの治療のための入院だからね。
すごく良い先生がいるから、大丈夫だよ
そう言って連れて行きました。
そう言って連れて行った数日後。
病院から一本の電話が入りました。
「〇〇さんは、他の病室を覗き歩くことが多く、注意してもなかなか止めることが難しい状態です。
今の病棟では対応が難しいため、退院をお願いしたいのですが…」
認知症の方を受け入れている施設や病院でも、他の利用者さんや職員さんの安全を守るために「今の体制では対応が難しい」と判断され、受け入れが難しくなることもあると聞きます。
私が父を見送った時も、コロナ禍だったこともあって入院できる病院が見つからずに困った経験があります。
(【実録】地獄の痛みを抱えながら父親の介護を支えた3週間)
それだけ、一人で抱え込むには「重すぎる現実」がそこにはあるのです。
知っておきたい認知症のこと
身体が足りない!両親同時の通院介助
日常生活も大変だけど、一番の重荷になるのが「通院」ですよね。
私は、弟がいたので分担できたけど……

一人っ子のA子さんは全部一人で抱えていたんですか……?
「そうなの」
「通院の日は、まさに一日がかりの戦い」

お母さんの検査をしている間に、車椅子のお父さんを別の診療科へ連れて行って……
広い病院の中を、文字通り走り回っていたよ。
当時は「介護保険外サービス」という 仕組みを知らなかったから

介護保険のヘルパーさんは、 病院の中までは付き添ってくれない。
結局、家族がやるしかないんだ
そう思い込んで、 自分を追い詰める事しかありませんでした。

それは……辛かったですね
でも、今なら
「身体が二つあればいいのに」という願いは、介護保険外サービスを利用することで簡単に叶えられます。
※一人っ子の介護不安については、公式コラムも参考になります。

一人っ子は介護費用も一人で背負う現実
私の考えは、親の介護費は、できるだけ親自身のお金で賄うのが自然だと思っています。
ですが、現実は甘くありません。
・貯金が少ない(もしくは無い)
・年金がない(もしくは少ない)
そういう家庭も多いのではないでしょうか。
ただでさえ、一人で二人分の介助が求められている状態で、さらに金銭的な負担までずっしりとのしかかる……。
「正直、やっていけるのだろうか」
そう、心が折れそうになる瞬間があるはずです。
だからこそ、手遅れになる前に 今のうちから「お金のこと」を、 ご両親と一度ゆっくり話しておくことをおすすめします。
お金にまつわる「5つの力」。
介護の現場でこそ、必要になる情報だと私は感じています。

親の介護は突然始まると思われていますが、人は老いるものですよ
一人っ子の介護地獄!にならないように備えたい

介護は、ある日突然「特別なイベント」として 降りかかってくるものではありません。
これから続いていく「暮らしの一部」です。
だからこそ、一人っ子の介護を「地獄」にしないために、 今から少しずつ、情報を集めて備えておくことが 何より大切ではないでしょうか。
「一人で抱えない」仕組みを今から作る
A子さんの体験談から
介護が必要になった時の相談先を知っておく
親が65歳を過ぎて介護保険証が届いたら、知っておきたい場所が地域包括支援センターです。
参考資料:厚生労働省(地域包括センターの概要)より
地域包括支援センターとは?高齢者のための「街の総合案内所」
一言でいうと「高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために、自治体が設置した、健康・生活・介護の何でも相談窓口」です。

まとめると: 高齢者に関することなら、まず最初に連絡して相談すべき場所、それが地域包括支援センターです。
介護保険証がまだ届いていない65歳以下の親のことで相談したい場合、どこに行けばいいのか迷う方も多いと思います。

どこに相談すればいいのか分からない
という段階で利用したい場所は、『総合福祉センター』

親戚の叔母のことで、聞きに行ったこともあるよ
家族のことじゃなくても、気軽に相談に乗ってもらえて必要な情報を教えてくれます。
*総合福祉センターは、高齢者、障がいのある人、子どもなど、すべての地域住民が安心して暮らせるよう、相談、交流、福祉活動の拠点として市町村が設置する施設です。
親のお金と家族の役割を早めに話し合っておく
介護費のことは、早めに話しておかないと大変なことになるかもしれません。
もしも、親が認知症になった後では、資産が凍結されてしまい、必要なお金が自由に使えなくなる恐れがあります。
使えるお金は、できるだけ早いうちに見える化しておくことをおすすめします。

私の場合は、父が亡くなり、母が一人になったタイミングで
などを母から一つひとつ確認しました。
また、お金の出入りは、できるだけ一本化しておくことも大切です。
年金などが入る通帳と公共料金などの引き落とし口座を同じにしておく。
そうすることで、もし親が認知症になり手続きが難しくなった場合でも、引き落としが止まってしまうリスクを減らすことができます。
一人っ子は、介護の負担を分け合うことができません。
だからこそ、早いうちから親の財産を把握しておくことは、自分自身を守るためにも、とても重要な備えになると私は考えています。
介護保険外サービスも知っておく
介護認定が下りるまでには、申請から1ヶ月以上かかることも珍しくありません。
相談できる兄弟がいない一人っ子にとって、この「空白の1ヶ月」をたった一人で抱え込むのは、あまりにも危険です。

仕事、辞めなきゃいけないかも……
そう追い詰められてしまう前に、ぜひ知っておいてほしいのが「介護保険外サービス」という選択肢です。
実は私自身も、要介護認定の申請中の大きな負担を、この介護保険外サービス(イチロウ)を利用することで乗り切ることができました。
制度の「外」にあるサービスを賢く使う。 それが、あなたの仕事と生活を守るための、大切な防衛策になります。
一人っ子の介護は『地獄』にも『支え』にもなる
一人っ子の介護は孤独になりがちです。
実際、一人で抱え込んで悩まれてる方を多く見かけます。
だけど、一人っ子だからこそ、兄弟間の煩わしさがない分、気楽に向き合える介護の未来が見えてくるかもしれません。

そのためにも、親が元気なうちに将来のこと話しておきたいわね

当時、いきなり親の介護が始まった時、全部自分一人でやらないといけなくて大変だったわ
今から親と話しておきたいACP(人生会議)

そういった話は、元気なうちでないと、なかなか聞くことができません。
また、好きな食べ物を聞いておくことも、実はとても大切です。
食欲が落ちてしまった時

これなら食べてくれるかもしれない
そんな献立を考えるヒントになります。
そして、一人っ子だからこそ「いざ」という時に慌てないためにも、親には早いうちに要介護認定を受けておいてほしいと私は思っています。
あわせて、親が住んでいる地域の「地域包括支援センター」の場所も、必ず確認しておいてください。
困った時、「どこに相談したらいいのか」が分かっているだけで、介護の負担は大きく変わってきます。
参照:厚生労働省:人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)してみませんか?
介護が必要になった時、車椅子での移動に介護タクシーを利用する場面も
一緒に読んで欲しい介護タクシーを利用した体験談はこちら



